気まぐれなんでも日記

役には立たないけど誰かと共有したい好きなことや日々のあれこれ、考えてることを綴ります。

最近読んだ本たちの感想をひたすらゆるく語る【第十弾】

本格的な夏がもうすぐそこまで近づいていますが、気づけばこの企画も第十弾!思いの外長く続けられていることに驚きです。
最近は次々と供給される韓国アイドルのコンテンツを享受することで生き延びています。


今回取り上げるのは以下の4冊です↓


▶︎又吉直樹(2023)『月と散文』(KADOKAWA)
めちゃくちゃ面白かった…!!
又吉さんが出ているYouTubeを偶然見たのがきっかけで読みたくなった一冊。図書館で見つけて立ち読みしたらやっぱり面白そうだったのでそのまま借りて、2日で読み切りました。
人の思考を覗き見しているような読書体験。ページをめくる手が止まりませんでした。
途中から「絶対買う!!」と心に決めて、読み終えた数日後に無事ゲット。特に「この夜の話も伝説みたいに語られるんかな?」と「アホな優しさ」が好きです。
終始、他者への配慮と「恥ずかしい」と自意識を強く持っている(ように感じた)又吉さんだけど、これはおかしい・許せないと考える事柄については至極冷静にフラットな視点で綴っているのがよかった。私はかなり自意識が強い方で、そんな自分が恥ずかしい、嫌だと感じることが多々あるけれど、こうやって又吉さんが文章に書き起こしてくれることで救われました。ずっと手元に置いておきたい、大事に読み返したい一冊です。

余談ですが、又吉さんのYouTube企画が面白いのでおすすめです。


▶︎長田弘(1975)『ねこに未来はない』(KADOKAWA)
散歩の合間に何気なく入った古本屋さんで手に取った一冊。初めての作家さんかつ初めての物語エッセイ。言葉選びとリズムがとっても心地よくて最高だった。軽快で穏やかな語り口とテンポの良い展開がなんともいえないちょうど良さ。調べてみたら長田さんは詩人でもあると知って納得しました。波長が合う、というとなんだか上から目線だけど、相性のいい作家さんと出会えて嬉しい。残念ながらもう新作を読むことはできないけれど、タイトルから物凄く気になる作品ばかり…!これから出会える本たちに今からワクワクしています。


▶︎平野啓一郎(2019)『マチネの終わりに』(文藝春秋)
ここまで物語の世界から離れることを寂しく感じたことはなかったと思う。平日の仕事終わりに誰かと会ったり映画を観たりするよりも真っ先に、この本を読みたい、ひとり静かに没入したい、と思った。蒔野氏と洋子さんの単なるふたりのラブストーリーではない、奥行きと厚みが存分に感じられる小説だった。未来を変えることは、過去を変えることにもなる。このことを深く深く理解しているふたりだからこそ下した決断はそれぞれの人間性が色濃く反映されていて他人が邪推する余地はない。たった5年半、されど5年半。まるでふたりの人生を追体験しているかのような、なんとも言葉では表せない読書体験だった。随所に見え隠れする運命的な展開も美しい。この作品に出会えて本当によかった。


▶︎平野啓一郎(2018)『ある男』(文藝春秋)
最後の悠人くんの俳句を読んで鳥肌が立った。14歳の少年が自分で自分を支える術を見つけ、自らの足で立とうとしている姿が皮肉にも美しかった。『マチネの終わりに』のときも感じたけれど、自問自答を繰り返しながら自己認識を深めていく人々の描写が抜群に上手い。そして理性と知性を兼ね備えた、どこか哀愁漂う男性像が魅力的。原誠という人物に迫るにつれて、徐々に城戸さん自身の輪郭までもが浮かび上がってくる過程が幻想的だった。人間の尊厳や人生の意味を考えさせられた一冊でした。


前回の読書記録↓


あっという間に今年も半分が終わり、下半期に突入するので(!) 毎日を楽しく過ごせるように優先順位をきちんと見極めてタスクをこなしていきたい。メリハリを大事に!