気まぐれなんでも日記

役には立たないけど誰かと共有したい好きなことや日々のあれこれ、考えてることを綴ります。

最近読んだ本たちの感想をひたすらゆるく語る【第11弾】

書くハードルをもっと下げて更新頻度を上げていきたいのにまた1ヶ月以上も空いてしまいました。書きたい気持ちは常にあるのでブログを書く時間を意識的に押し広げていきたい。


今回取り上げるのは以下の4冊です↓


▶︎早乙女ぐりこ(2024)『速く、ぐりこ!もっと速く!』(百万年書房)
初めて訪れた書店で初めて出会った作家さんの初商業出版本。印象的な表紙に惹かれてパラパラとめくったときに「あ、多分私この本好きだ」となった直感は正しかった。読んでいくうちにどんどん虜になっていってあっという間に読み終えてしまった。終盤は読み終えるのが寂しすぎて少し寝かせてしまったほど。衝動的にズンズン突き進んでいく様が魅力的なうえにこんなに読ませる文章を書くなんてずるすぎる、、日記本やエッセイの魅力がこれでもかとみっちみちに詰まっている一冊だった。
「彼の言い分を理解しようとすることより、自分が自分らしくあることを優先してしまった」
という一連の行動を反芻して、最後に特大のハグで包み込む温かさに私までふっと力みが抜けた気がした。また好きな作家さんと出会ってワクワクが止まらない。
ハマった本あるある : 読み終えてすぐそのまま2周目がスタートする


▶︎高瀬隼子(2022)『おいしいごはんが食べられますように』(講談社)
えぐい。ラストえぐすぎる。
ずっと気になってはいたものの、なんとなく読むタイミングを逸していました。しかしある日突然「読みたい…!読むべきは間違いなく今日だ!」と思い立ち、出先で購入。そのままスタバに駆け込み、1時間ほどで読み終えました。
多分ずっと腹の座りどころが悪い、なんとも言えない顔をして読んでいたと思う。最初から最後までずっと腹の奥底にどんよりした鉛を抱えている感じ。濃淡は違えど登場人物3人にそれぞれ共感はしつつも、明確に「分かり合えない」と思いながら読んでいた。食べ物をこんなに無機物的に美味しくなさそうに書けるのすごい。不穏な空気に心がざわつくのに怖いもの見たさでズルズル読んでしまう。掴んで離さない、というか離してくれない。淡白だけどどこか優しい文体と内容のギャップがえぐい。


▶︎金原ひとみ(2023)『fishy』(朝日新聞出版)
金原ひとみさん。特にあてもなく立ち寄った書店で数ページ立ち読みしたとき相性のよさを直感して購入。
帯にある「新たな連帯のかたち」という言葉に無性に惹かれたのだけど、まさにだった。作中にユリが何度も言うように3人は友達ではない。飲み仲間でも、同僚でもない。歪だけどなぜか温もりを感じる関係性は不思議と安らぎも与えてくれる。年齢もキャリアも異なる女性たちの脆くて不安定な心の揺れがとてもリアルだった。3人それぞれが実体験を通して自己認識を深めていく過程が面白い。"連帯" はしつつもあくまでも人生の歩み方は三者三様で、最終的に自分で尻拭いをしているのがよかった。今を生きること、自分の生き方を自分で決めること、たとえ見失ったとしても這ってでも戻ってくること。強さを見た。


平野啓一郎(2021)『本心』(文藝春秋)
思わぬ形で母を亡くした主人公が足許を確かめながら少しずつ心の落ち着きを取り戻して、新たな道を歩んでいく様が本当に丁寧に丁寧に描かれていた。最初から最後まで主人公は愛に包まれていながらも孤独である。けれど前半と後半でその意味するところは全く異なっていた。
ふと浮かび上がって手を伸ばすも、決して触れることはできない最愛の母の本心。生前の母と交流のあるさまざまな人物を通して自己認識を補完していきながら、最後はその他人性に静かに向き合おうとする姿がとても美しかった。苦しいほど追い求めていた母の本心を知ること以上の感覚に最後に自らの力でたどり着いたのが尊かった。平野啓一郎さんの作品を読むと、社会からこぼれ落ちてしまう影の存在に気づくことができる。読了にかなり時間がかかったけれど、最後まで読んでよかったと心から思う。



↑前回の読書記録


図らずも今回は新しい作品ばかりでした。そして平野啓一郎さん以外は全員初めての作家さんだったのでそれも新鮮で楽しかったです。忙しなかった夏が終わり、来月は少しゆっくりできそうなので自分の好きなことへ時間を使っていきたいです。