気まぐれなんでも日記

役には立たないけど誰かと共有したい好きなことや日々のあれこれ、考えてることを綴ります。

最近読んだ本たちの感想をひたすらゆるく語る【第四弾】

ブログ書いてない、書けてない、、と気づいたらもう1ヶ月近く経ってしまいました。今月から社会人デビューを果たし忙しなく活動していますが心は健全なのでとりあえずは大丈夫そうです。
細々とですが図書館通いは続いているので恒例の(?)読書記録をつけようと思います。


今回取り上げるのは以下の4冊です↓

毎度のことながら本の表紙たちそれぞれの色があってとてもよい。


▶︎池井戸潤(2012)『ルーズヴェルト・ゲーム』(講談社)

スポーツがここまで中心になっている作品を読んだのは本当に久しぶり。事業規模は決して大きくないけど技術は確かな中堅企業の苦悩と闘いが社内の野球部とリンクしていく様に熱くなった。立て続けに池井戸潤さんの作品を読んで思ったけど、作中に本当に根が腐ってる・ただ性格が悪い人はほぼ出てこない(七つの会議の新田さんはちょっと光が見出せなかった…)
歳を重ねるにつれ、他人の声に耳を傾け心から受け止めることができない場面が明らかに多くなった。生きてきた時間が長いほど自分の意地や間違いを認めるのは難しい。保身に走りたくなる。
でも作中の彼はとっても清々しくてかっこよかった。それぞれが異なる思いと事情を抱えながらも必死にもがき苦しむ姿が美しかった。
笹井さんの「自分は社長の器じゃない」と言える強さが印象的だった。
でも私は結局神山さんみたいな職人が好き笑

ひとつ難点を挙げるとすれば野球に全く興味がない・わからない人はハマるのに時間かかるかも……


▶︎川上未映子(2023)『黄色い家』(中央公論新社)

とんでもないものを読んでしまった。ほぼジャケ買いでしたが、本当に出逢えてよかった。初めて読んだ作家さんかつ長編なのに全く澱みなく言葉通り没頭して読んだ。私は最初から最後まで(蘭ちゃんと桃子に対する言葉遣いや態度の変貌ぶりは苦しかった、最後の場面は驚いた) 花ちゃんの思考や行動が異常だとは思えなかった。今の私には俯瞰的に問題点を捉えられる余裕がなかった。花ちゃんの思考回路にのまれて花ちゃんにずっと感情移入していた。

「金は猶予をくれる。金の、どれを、なにを望んでいるのか」

花ちゃんが自分自身に問いかけたこの言葉は私が考えなければいけないのにずっと目を逸らしている問題の本質をつくようだった。
個人的に一番ブッ刺さったのはトロスケの「お前顔変わりすぎだろ」だった。この一言で花ちゃんがいかに "世間一般" とはかけ離れた環境で生きてきたか、それがどう人相として表れているか想像するのに十分すぎる痛烈な一言だった。そしてこの一言を読んだとき、私は自分の顔を確認したくなったけど怖くてできなかった。変わってしまった、という自覚はもう何年も前から抱いていて、わかってるけど見たくなかった。間違いなくこの本は今年イチだし、人生で何度も繰り返し読み返すことになるだろう。誰かの感想を読む前に今ここに読み終わってすぐ私の生の気持ちを書けてよかった。


▶︎角田光代(2016)『わたしの容れもの』(幻冬社)

タイトルに惹かれて手に取った角田光代さんによるエッセイ集。「容れもの」の名の通り自身の体に起こった大小様々な変化と気づきを綴った内容で、とても面白かった。作家さんのエッセイやはり好きだなと実感。最近読書量が停滞気味だった私にとって無理なく楽しく読み進められたのがありがたかったです。
終始思ったのは角田さん精神年齢若い気がする(?) 更年期障害や老眼を "私にももうすぐ訪れるはず…!" と待ち構えている感じが可愛い。笑 最後の方に加齢による地味な変化として書かれていた「食べかたが汚くなった」話。こうして実体験として書かれているとなんだか凄く腑に落ちた。当たり前だけど当事者になってみたいとわからない気づきはいくつもあるんだろうな。これから私も様々な変化を迎えると思うけど、穏やかに、時には「これが大人たちが言ってたあれか!」と嬉々としながら受け入れていきたい。
あと個人的大共感だったのが "若い頃(学齢期)の運動基礎経験・体力がない人が大人になっても始めても「どこかへん」がずっと付き纏う" 話。 私自身、筋トレにハマって運動は好きになったけど、滲み出る「学生時代一切運動してこなかった感」はもう拭えないと諦めている…… うまく言語化できないけど、まさに「どこかへん」なんだよなーー。でも逆に言えば読書体力はあったおかげでこうして大人になった今でも読書を楽しみ共感できているので本当人それぞれだなとも思った。


▶︎星新一(1980)『ひとにぎりの未来』(新潮社)

まずこの作品が1980年発行なのに驚き、、
小学生のとき読み漁ってた星新一さんのショートショート、やはりとても面白かった。少々不気味で奇妙な世界なんだけど、どれもうわ、ありそう…ってなる話ばかり。1980年発行!?星新一さん今おいくつ!?って見たら1997年に亡くなってるんですね、、戦中戦後の時代を生き抜いた方が残した作品なんだと思うと自分の中で新たな視点が生まれた。もう新刊は読めないのが悲しい。人間の普遍的な感覚や傾向を捉えて奇妙に皮肉も交えながら飄々と描いているのが本当に凄い。星新一さんの作品でしか味わえない独特の読了感がとても好きです。


先月末あたりから常に何かに追われていて心のゆとりが持てない日もありましたが、ダークネス期は抜けたので一安心です。
読書量は減っているし通勤時間にサクッと読める短編集等を好む傾向が出ていますが、無理に抗うことなく穏やかに過ごしていきたい。「読書基礎体力」は備わってるはずなので、そのうちまたいろいろ読むようになるでしょ〜〜って思っています。


↑前回の読書記録です。せっかくなので置いておきます。